2011年05月18日

△「オレンジの陽の向こうに」(ほしおさなえ)

「オレンジの陽の向こうに」(ほしおさなえ)(東京創元社、2011年4月)

オレンジの陽の向こうに [単行本] / ほしお さなえ (著); 東京創元社 (刊)

この作品も昨日の「幻想郵便局」と同じファンタジック・ミステリ。
女性らしいリリカルな青春物語を念頭に置いたタイトルだけれど、ストーリー展開が平板なために、狙いはあまり成功しているとは言い難い。主人公となる二人の若い男女(真と棗)の出会いと、その後の係わり合いもリアルさに欠けていて残念。

ご都合主義と言われかねない脇役達の登場・展開に、TVドラマ並みの安直さがうかがわれる。タイトルが昔流行ったヒット曲からとったものという設定であっても、棗の友人でモデルの理名が登場し、その後に真と係わり合う必然性は理解できない。最初のすれ違いストーリーの面白さが次第に飽きれらてしまう長さにつながる欠点かも。

<以下ネタばれあり! ご注意を>

パラレル・ワールドと異なる原理で、二つの日常世界を並立させる手法は目新しいけれどロジカルではない。現生の人びとが夢の中で出会う死者たちは、生前と同じ姿形で生きているはずだけれど、キーパーソンである氏原の双子(!)の弟だけは、子供の頃死んだはずなのに成長しているという矛盾。

こちらの世界と死後の世界を並立させて、それを謎の地衣類「イワフネ」の持つ二つの霊力(いや感染性ウイルス?)で解き明かす終盤は、いやいやそれはないでしょうという解決策。
荒唐無稽とはいわないまでも、ちょっとうなずけない解釈だ。
ロマンスを盛り込もうとする意欲が空回りした作品。


ラベル:ほしおさなえ
posted by Peperoni at 19:59| Comment(1) | △まあ、楽しめる本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
夏草が人気作家へののろしです。

ほしおさなえさんの事ですが、
どうも私的生活の苦悩が増えると、花開いていくみたいなんです。
http://www.birthday-energy.co.jp/ido_syukusaijitu.htm

このサイトによるとこれからが大飛躍なんだそうですよ。
これからの30年間がイチバン活躍する時期。

もともとあれこれ手出しはNGで、一点突破主義でいかないと
つかれてしまうそうです。
寡作でも濃い作品が期待できそう。
Posted by ゴロナン at 2011年07月16日 00:43
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