2011年08月24日

○「夏草のフーガ」(ほしおさなえ)

「夏草のフーガ」(ほしおさなえ)(幻冬舎、2011年7月)

夏草のフーガ [単行本(ソフトカバー)] / ほしおさなえ (著); 幻冬舎 (刊)

この作品は、今年(2011年)3月の東日本大震災を物語のモチーフに取り入れている。こういった作品が早くも登場していることに少し驚いた。

夏草(なつくさ)とは中学一年の主人公の名前、中学へ入学したばかりの一人の娘の目を通して、学校でのいじめや家族のあり方、そして生きること、さらには神は存在するのかというテーマまでを取り扱ったヤング・アダルト向けの長編だ。

祖母から母へ、そしてその娘へと代々伝わってい生命の不思議を、美しく神秘的な「ヒンメリ」(フィンランド特有の伝統工芸品・モビール)が象徴していく。繰り返し登場する聖書の一節が、「人、その日々は草のよう、 その盛りは、野の花のよう。」その言葉が通奏低音のように、この物語全体を下支えしている。


祖母の通った名門カソリックの私立中学・望桜学園へ入学したばかりの夏草に試練がおとずれる。その「聖書」の授業時間での出来事が、祖母をめぐる大きな謎を解いていく鍵となるのだった、、、

前作「オレンジの陽の向こうに」(東京創元社、2011年4月)では、作品には少し軽さを感じたのだが、今回の作品はいきなりの低めの直球で、読みごたえのある作品。ミステリもファンタジーも共に取り込んで、リリカルなタッチで夏草自身の成長と家族のきずなが描かれていく。


posted by Peperoni at 19:39| Comment(0) | ○おすすめ(読みがいのある本) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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